先日、新しくできた友達と食事に行きました。
正確に言うと、同じ学校の同学年の友人なのですが、在学中は話したこともない人。
なので新しい友達です。
ある会でたまたま隣に座り、30分ほど話しただけなのですが、
なんだか気が合って楽しかったな~と思っていたら、相手もそう思ってくれていたみたいで、
そのあと「今度は食事でもしながら続きの話をしよう」と連絡がありました。
まあずっと先のことかなと思っていたら、1カ月もたたないうちにその機会がめぐってきました。
「じゃあせっかくなので、仕事が終わったらどこかでごはん食べましょうか」と。
私が予約した六本木のイタリアンレストランで待ち合わせをしました。
少し先に到着し、案内された席に着くと、
隣の席にいた20~30代くらいの男女6人グループが、超盛り上がっていました。
女の子がキャーとかワーとかやや下品な奇声を発していて、ちょっと場違いな感じ。
イタリアンレストランだからにぎやかなのはいいのですが、
それなりのお店だったので、ちょっと度を越しているなとすぐに思いました。
居酒屋じゃないんだからさ…。
飲み物のメニューを持ってきてくれたお店の男性に
「隣の人達がちょっとにぎやかなので、席を移れませんか?」と聞いてみると、
「本日は満席を頂戴しておりますので、申し訳ございませんがそれはできないんです」と、
言葉は丁寧だけどきっぱり即答。
でもね、まだ19時台で、3割くらいしか席が埋まっていなかったんですよ。
移らせてくれてもいいじゃん…とややムッとしているところに、友達が到着しました。
「いやーちょっと遅れちゃってごめん。どうする?ビール?
ここイタリアンだよね。じゃあモレッティにしよう」と、とりあえずビールだけ注文。
メニューを眺めていると、本日のおすすめメニューの説明をしに、
若い女性の店員さんがやってきました。
その間も隣のグループは大騒ぎをしていて、店員さんの説明の声が聞き取れません。
「…それで、本日はそのお肉に旬の春野菜を添えまして…」。
お店の女性は隣に負けないように声を張り上げています。
途中まで我慢して聞いていたのですが、やっぱりこれって何かおかしい。
「あのー、お話の途中で申し訳ないんですが、
やっぱり隣の人達がうるさくて落ち着けないんですよ。
この友達は大切な友達で、今日はゆっくり話をするつもりでここに来たんです。
さっきも別の方にお願いしたんですが、まだ席も空いているところがたくさんあるみたいだし、
移動させてもらえませんか?」と、気がついたら我慢できずにまた言ってしまっていました。
お店の女性は困った顔をして「責任者に聞いてまいりますので、少々お待ちください」 と言い残し、奥へ入っていきました。
ここで初めて、その友達に事情説明です。
「いきなり来たばっかりのところでごめんね。でもちょっと、ここうるさすぎないかな?
どう思う? このままここにいた方がいい?」
と、一度移動を断られた件も含めて話すと、
友人は「確かにね。イタリアンレストランはにぎやかでいいんだけど、
席がこれだけ空いてるのに、その対応はちょっとないねぇ。
オッケー、じゃあこうしよう」と。
会って二度目のしょっぱな、いきなり作戦会議が始まりました。
期待して行ったお店がいまいちだったり、
お客さんを連れて行ったのに、お店の対応ががっかりするものだったり、
あるいはお店はよかったのに、隣のお客さんの会話がひどくてしらけてしまったり。
レストランで食事という場面だけとっても、
そういうちょっとした困ったシーンに出くわしたことは、
これまでに双方ともいろいろあったわけです。
戻ってきた店員さんは「誠に申し訳ないのですが、
やはり本日は満席をいただいておりまして、お席の移動はできないんです。ごめんなさい」
(予想通りだ。では作戦発動。)
「そうですか、わかりました。じゃあ一番早くできるお料理は何ですか」
「プロシュートの盛り合わせです」「じゃあそれを持ってきてください」
プロシュートが運ばれてきました。
友達は席を立つと、電話をかけにいきました。
そしてすぐに戻ってきて、麻布の和食屋さんに席を移動することに決まりました。
プロシュートもビールもおいしかったです。
イタリアンレストランのその30分間で、「困ったことが起こった場合、
自分の楽しい気分をできるだけ盛り下げないで切り抜ける方法」について、
すっかり盛り上がって話し込んでしまいました。
お店を出るとき、まだ隣のグループは騒いでいましたが、
申し訳なさそうに何度も謝るお店の女性に「あなたのせいじゃないから」と言うと、
友達も「また機会があったら来ます」と礼儀正しく言ってくれました。
麻布の和食屋さんに移ってずっと話していたのはやっぱり、
問題が起こった時や、ピンチや苦境に陥った時の話。
大企業の管理職で大勢の部下がいる友達と、
小さな事務所をもっているだけの編集者の私とでは、
仕事内容も境遇も全く違うけれど、話はとてもおもしろく、尽きることがありませんでした。
彼も私の苦労話やピンチの話をおもしろそうに聞いてくれました。
帰り際に、なぜ初対面の時に話が合うと思ったのか?という話になったのですが、
突き詰めてみるとこういう、常に楽しく良い気分でいるためにはどうしたらいいか、
というベクトルに考えを進めるところが
少々似ているということだったのかもしれないな、と思いました。
毎日を気分良く過ごすのって、考えている以上に大切なことだよね。
昔の私は結構怒りんぼ&悩み多き性格で、仕事で起こった腹の立つことを「思い出し怒り」するとか、
いつまでも同じことを悩み続ける、みたいな非生産的なこともやっていたけど、
最近はほとんどないかな。もうそういうことはやめよう、と決めたら案外簡単にやめられたよ。
だって、つらいことだけに費やすなんて、人生の時間がもったいないですよ。
そんな話もした今回の友達は、たまたま学校も年齢も同じでしたが、
大人になってからの友達って、年齢や仕事なんかはあまり関係ないんですよね。
その人のこういうところに共感できる、尊敬できる、あるいはなんか好き、
みたいなことで自然に集まってくる、そういう友達が一番いいなぁと思うし、
そういう友達が増えたから、怒りんぼじゃなくなったのかなと思ったりもします。
でもたぶんあのイタリアンには、もう行かないと思うなぁ…。
たまには日々のことを書こう、と思って書いたら、 あらら、こんなに長くなってしまいました!